【 書評 】 『人生の経営戦略』山口周|40代・50代からの人生設計に必要な“戦略的思考”とは?
こんにちは、ひろしです。
「今のキャリア、このままでいいのかな…」 「自分らしく働きたいけど、生活もあるし…」
心のどこかにぽっかりと空いた隙間がある。
そのような時に手に取ってほしいのが、山口周さんの著書 『人生の経営戦略』です。
企業が市場で勝つために練る「経営戦略」の考え方を、私たち個人の人生設計に応用するというユニークな試みです。
この記事では、本書の核心を要約しながら、「どうすれば自分らしいキャリアを構築できるのか?」という問いに答えていきます。
人生も経営戦略で考える時代です。40代・50代のキャリア迷子の方、必読です。
40代、50代のかた必見!
「このままでいいのかな?」と思っているあなたへ
人生設計を見直すための朗報です。
人生にも「経営戦略」が必要な時代
山口さんは、長年にわたり企業の経営戦略に携わってきたコンサルタントです。本書ではその視点を、私たち一人ひとりの人生に応用する方法を示しています。
戦略が必要な理由:
- 働く期間が長期化(60歳で終わらない)
- キャリアの選択肢が多様化
- 組織依存から個人自立へと価値観がシフト
特に注目すべきは、著者が唱える「マキャベリ的人生論」と「理想的人生論」の二項対立。成果重視の人生観と、自分らしさを大事にする人生観は本来対立するものではなく、「両立させる戦略」こそが人生を豊かにすると説かれています。
💡【補足】
実はこの“二極のバランス”こそが、現代の幸福論の鍵です。仕事において成果を追いつつも、「何のために働くか」を見失わない。マインドとロジックのハイブリッド戦略です。
人生とキャリアのバランスを取る
本書では、現代のキャリアに関する二つの価値観「マキャベリ的人生論」と「理想的人生論」を紹介しています。
- マキャベリ的人生論は、冷徹に競争し、経済的自由を手に入れることを目指す考え方です。このアプローチは、自己成長や成果を最優先にし、キャリアアップを図りますが、過剰に成果を追い求めます。そのため、人とのつながりやリラックスする時間を犠牲にしてしまうリスクがあります。
- 理想的人生論は、自分らしさを大切にし、経済的・社会的な不安定さを避けつつ豊かな人生を追求する考え方です。しかし、プロセス設計に不備があり、結局何に力を入れるべきかが不明確に。そのため、充実感が得られないことがあります。
本書では、この二つの価値観(人生論)をバランスよく取り入れることが最も重要だと述べています。
成果を上げながらも、自分や他人とのつながりを大切にし、バランスの取れた人生設計が求められます。
「今を我慢」ではなく「今を満たす」
昔は「未来の成功のために今を耐える」という考え方が主流でした。しかし現在は、5年後にあなたの仕事がなくなっている可能性すらある時代となりました。
だからこそ、「今この瞬間を充実させる」という視点が必要です。山口さんは、未来だけでなく「今を幸せにする戦略」があると教えてくれます。
フレームワークで人生を見える化する
ビジネスで使われる戦略フレームワークを、人生に応用する提案も本書の魅力。
- ブルーオーシャン戦略:他人と競わず、自分だけの道を選ぶ
- バランススコアカード:人生の進捗を可視化する
- リソースベースドビュー:自分の強みを見極める
- イニシアチブポートフォリオ:時間とエネルギーの使い方を見直す
- ライフサイクルカーブ:変化の兆しを早く察知する
これらを活用すれば、漠然とした「理想の人生」も、戦略的な行動計画へと変わります。

3つの資本をバランスよく育てる
人生がうまくいかない理由は、努力不足ではなく「資本の使い方」にあるかもしれません。 山口さんは、人生を経営と同じく“資本の循環”としてとらえています。
この流れを意識することで、「今、自分の時間をどこに使うべきか」が明確になります。
幸せをつくる3つの”要素”
本書では、「幸せ」を以下の3つに分解して定義しています。
- 自己効力感(=人的資本)スキルや知識に変わる“力” 自分の能力や経験、健康などを高め、自己効力感を持つこと。
- 社会的つながり(=社会資本)信頼や人間関係といった“つながり” 家族や友人、同僚との信頼関係を築き、良好な人間関係を維持するこ
- 経済的安定(=金融資本)お金や収入というリターン 安定した収入を確保し、生活に不安がない状態を作ること。
この3つをバランスよく育てることが、満足度の高い人生につながります。
人生の経営資源になる3つの”資本”
人生を豊かにするための“資本”とは、お金だけではありません。 著者である山口さんは、次の3つを人生の経営資源として定義します
| 資本 | 説明 |
|---|---|
| 人的資本 | 能力・健康・経験・知識など、自分の内側にあるもの |
| 社会資本 | 信頼・人間関係・ネットワークなど、外側とのつながり |
| 金融資本 | 貯金・収入・資産など、経済的安定をもたらすもの |
この3つの資本のバランスを見直すことで、人生全体の「リスク分散」が可能になります。
💡【気づきのとびら】
振り返ったとき、「人的資本ばかりに偏り、社会資本が弱い」と感じました。会いたい人に会い、信頼を築くことも立派な“戦略”です。
キャリアは“山登り”と同じ
あなたのキャリアは、どんな山を目指していますか? 本書では、キャリア設計を「山登り」にたとえています。
登る山を決めて、道具(スキル)をそろえる
まずは目指す山(目標やポジション)を決める。そして、その山に登るために必要なスキルや経験を積み上げていく。この考え方は、現実的でとても再現性があります。
「行動が意識を変える」サイクルを回せ
「まず意識を変えよう」と頑張るより、先に行動する方が早い。
行動が結果を生み、結果が意識を変え、その意識がまた次の行動を生む――。このサイクルが、人生を少しずつ動かしていくのです。
情報収集は“戦略的”に
目指す業界や職種があるなら、 実際にそのポジションにいる人がどんな道を歩んできたかを調べてみましょう。転職エージェントに相談したり、「年収×年齢」でシミュレーションするのもおすすめです。
情報を行動の“地図”に
キャリア形成を「山登り」にたとえ、「目指す山」と「必要な道具」の設計が不可欠であると説きます。
- 登りたい山=目標・理想の姿
- 道具=スキル・経験・資格・人脈
重要なのは「行動 → 結果 → 意識 → 行動」という循環。まずは小さな一歩を踏み出し、それが成功体験となり、意識が変わっていく。意識改革よりも、行動改革が先です。
💡【補足】
キャリアに悩むと、つい考え込んで動けなくなります。しかし、本書は「小さな行動を起こすこと」が戦略的思考の第一歩と教えてくれます。
考えるな、まず動け。という言葉がピッタリですね。

自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ
以上の考察を踏まえて、ライフマネジメント・ストラテジーにおける洞察を引き出すならば、これはそのままリクルート創業者・江副浩正氏の有名な言葉に行き着くと思います。
「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」
このような状況を打破するためには、受動的に“良い経験”を得られる機会を座して待つのではなく、能動的にみずから良質な経験を得られる機会を作り出していく姿勢が必要です。
行動の例:
- 副業を始めてみる
- 社外の勉強会に出る
- SNSで発信してみる
- 自主的にプロジェクトを立ち上げる
自ら成長の機会を作り出すことは、単にスキルや実績を積むだけでなく、リーダーシップや創造力といった重要な能力も養います。限られたチャンスの中でも、自分で価値ある経験を生み出す力は、どのような環境でも活かせる「生きる力」となり、結果的には組織にとっても価値ある人材となるでしょう。
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まとめ:あなたは“人生という会社”のCEOである
社長視点で人生をマネジメント
『人生の経営戦略』は、人生を“社長視点”でマネジメントする方法が書かれています。
山口周さんの主張は明快です。
あなたの人生は、あなたがCEO。 自分のリソース(資本)をどう配分するか、 どの市場(業界)で戦うか、 どのようなポートフォリオで将来に備えるか、 すべて、あなたが戦略を持って決める時代です。
人生の経営戦略
このような方におすすめ
『人生の経営戦略』は、 あなた自身が自分の人生をどう設計するかを本気で考えさせてくれる“戦略書”です。
このような方におすすめです:
- 40代で将来が不安
- キャリアに迷いがある
- プライベートの充実感がない
人生は一度きり。感情だけでなく「戦略的な視点」で、自分の道を選んでみませんか?
あなたの人生を動かすのは、誰でもないあなた自身です。この本は、あなたが「人生のCEO」として最初の一歩を踏み出すために、力強い味方になるでしょう。

『人生の経営戦略』を活かすための3つのステップ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| Step1 | 自分の3つの資本(人的・社会・金融)を棚卸しする |
| Step2 | 登りたい“山”を明確にする(職種・ライフスタイル) |
| Step3 | 今すぐできる「小さな行動」を決めて実行する |
おわりに|「キャリア迷子」の方に効く一冊です
「何をすべきか分からない」「自分にしかできないことって何だろう」 そんな問いに迷ったときこそ、こちらの『人生の経営戦略』は力になります。
経営戦略を自分の人生に応用する──。それは、自分の未来に責任を持つということでもあります。
「偶然の人生」から「意図のある人生」へ。
自分の人生を「プロジェクト」したい方は、ぜひ一読をおすすめします。
