目次
「限りある時間の使い方 人生は「4000週間」あなたはどう使うか?」オリバー・バークマン
こんな悩みはありませんか?
やることが増えるばかりで、いつになっても終わらない。
これまで様々な時間術を試したけど改善しない。
本書は、時間をできるだけ有効に使うための本でありながら、タイムマネジメント系の本ではない。
イギリスの新聞記者が、時間管理について掘り下げ、「時間をコントロールしようとするほど、時間のコントロールがきかなくなる」と主張しています。
自分の限界があること。
その事実にしっかりと目を向けることで、今よりも生産的で楽しい人生を送れるようになります。
では、中身をみていきましょう。
要約と感想レビュー
自分の限界を受け入れる
限界を受け入れるというのは、自他ともに期待されることをすべてできるわけではないと理解するということでしょう。著者は頑張っていましたが、自分に要求するレベルが高すぎて、これで充分であるという満足感を得られないと気付いたのです。日々のあらゆる努力をし続ければ、理想の未来がやってくるわけではないのです。
大きすぎる期待に応えようとするよりも、目の前のことをやってみる。そう考えるほうが、気楽に一歩を踏み出せるというわけです。
“現実から逃げるのをやめれば苦痛がやわらぐ・・・やり遂げるには・・今起こっていることをそのまま見つめたほうがいい(p132)
現実を直視することが、他の何より効果的な時間管理術だ。
やることを絞り込む
そして限界を受け入れるということは、やることを絞り込むということです。ところが、その絞り込むのが難しいのです。
なぜ、読書をするのか。なぜ、異業種交流パーティーに参加するのか。なぜ、副業するのか。なぜ、旅をするのか。自分はいったい何のために生きているのか? という問いに答えなくては、絞り込めないからです。
そうすると、将来の不安からやっていることがあるのではないか。ありのままの自分ではなく「あるべき姿」に縛られてやっていることがあるのではないか、と問いはふくらみます。「今日が人生最後のつもりで」という考え方がありますが、そう考えても著者も実際には絞りきれていないという。
重要なものから重要でないものへと順番に並べて・・そのうち上位の5つに時間を使う・・適度に魅力的な選択肢こそが危険であるということだ(p96)
平凡な幸せ
自分はいったい何のために生きているのか?という問いに対し、著者は「ありふれたものに新しさを見いだす」という提案をしています。散歩をしてみたり、写真を撮ったり、自然観察をしたり、日記をつけたり、子どもと遊ぶのです。
なぜ、そんな平凡な幸せを提案するのか、気づきの事例として世界を旅しながら仕事をするノマドワーカーのエピソードを紹介しています。そのノマドワーカーは、日本の小さな町で、家族が一緒に自転車に乗っているのを見て泣き崩れたという。自分は自由を手に入れたのと引き替えに、家族と過ごす平凡な幸せを手放してしまったことに気づいたというのです。
人は自分にとって大切なことを選択しているつもりでも、本当に大切なことを大切にしているとは限らないということなのです。
1年間世界中を旅するという一見遊びに満ちた体験さえも、「より豊かな経験をした自分」になるための手段だったりする(p168)
人の幸せの形は人それぞれ
この本では、一人でいるより、集団の中でルールに身を任せるほうが、自由になれることもあることを紹介しています。軍隊や組織の一員として活動することや、始業時にラジオ体操をする日本の会社員など仲間と一緒に体を動かすことで団結心が強まる事例は多いのです。
また、歌手のロッド・スチュワートが、20年間、趣味として巨大な鉄道模型を制作してきたことも紹介しています。結局、人の幸せの形は、人それぞれということでしょう。自分が満足する小さなことをやりながら、その枠の中で、自分が幸せになればいいのです。一燈照隅万燈照国という言葉を思い出しました。
著者自身も人生の答えを持っていないようですが、それでよいのだと思いました。バークマンさん、良い本をありがとうございました。
▼引用は、この本からです
限りある時間の使い方 [ オリバー・バークマン ]本書から学べる行動リスト
オリバー・バークマンの『限りある時間の使い方 人生は「4000週間」あなたはどう使うか?』から読み取れる具体的な行動としては、以下の3つ。
1. 自分自身に最初に時間を割り当てる
重要なことに時間を使うためには、まず自分自身に必要な時間を確保することが重要です。例えば、日々のスケジュールの中で、自己啓発や趣味、運動など自分の成長と幸福に直接寄与する活動に最初に時間を割り当てます。
2. 「今」を最大限に生きる
未来の準備のためだけに現在を生きるのではなく、現在の瞬間を大切にする生き方を心がけます。これは、日々の生活の中で「もしも」ではなく「今」に焦点を当て、今できることに意識を集中させることです。
3. 重要なタスクに優先順位をつける
無限にあるタスクの中から本当に重要なものを選び出し、それに優先順位をつけて取り組むこと。これは、パーキンソンの法則を逆手に取り、限られた時間の中で最も価値のある活動に時間を使うことを意味します。
感想
故・スティーブ・ジョブスは「何をしないかを決めるのは、何をするのかを決めるのと同じくらい大事だ」という言葉を残しています。私達の時間は限られているのにデジタル社会では大量の情報が容赦なく襲ってきます。
時には情報を遮断し、「断る勇気」も必要です。時間泥棒になっている悪習慣も同様です。
時間の使い方を今一度見直したくなった一冊でした。