「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」【 本の要約 】
こんにちは、ひろしです。
「論理(ロジック)だけでは壁を越えられない──」
ビジネスをしている方にとって、そんな実感を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか」では、これからのビジネスマンは、「『真・善・美』を鍛えねばならない」と述べています。「論理(ロジック)偏重の限界」に気づき始めたビジネスパーソンに向けて、 感性・直感・美意識という“新しい判断軸”を提案してくれる一冊となります。
一読するとあなたのビジネスに、「感性」や「直感」の価値を問い直すきっかけを与えてくれるかもしれません。

本書の結論:これからの時代に必要なのは「美意識」
本書のメインテーマは「なぜ、今、美意識が必要なのか?」という問いです。
美意識とは、「自分(自分たち)の美学に照らして、これは正しいか?」を判断する力。 これが今後のあなた自身や企業の“ブランド”、“信頼”を左右する重要な軸になります。
本書の核となるメッセージは、以下の4点です。
- これからの時代に必要なのは「感性」である
- 美意識を鍛えなければならない時代が来ている
- 判断軸として「真・善・美」を内面化せよ
- 美意識はアートや哲学によって高められる
では、詳しく見ていきましょう。
これからの時代に必要なのは「感性」である
感性と直感の時代がやってくる
本書で定義される「美意識」とは、経営における真・善・美を判断するための認識モードのこと。
「論理やエビデンス」こそ最強と信じられてきたビジネスの世界において、 なぜ今、“美意識”が必要とされるのでしょうか?
その理由は、現代が不確実・不安定・複雑・曖昧な時代だからです。
- エビデンスに基づいた行動が誰とでも同じになる → 差別化できない
- 正解がない、またはすぐに正解が変わってしまう
こんな時代には、理性だけではなく「感性=アート的視点」による直感的判断が必要になります。
実際に、世界のエリートたちはアートスクールに通い、哲学を学び、美術館でギャラリートークを受け、 積極的に“美意識”を鍛えているのです。

美意識を鍛えなければならない時代が来ている
美意識が求められる3つの理由
では、なぜ今ここまで美意識が重視されるようになったのでしょうか。
本書では以下の3つの社会変化が指摘されています。
1.論理・分析スキルの限界
ロジカルな能力は、すでに誰もが身につけている“コモディティ化された力”です。 その結果、論理だけでは差がつかないどころか、差別化を阻む要因にすらなっています。
2. 消費が「自己実現型」へ
かつての消費は「機能性」や「コスパ」が重視されていました。 しかし、今や世界中の人々が「自分らしさ」や「美意識」に価値を感じる時代へと突入しています。
顧客の心に届くプロダクトやブランドを生み出すには、作り手側にも感性が求められるのです。
3. ルールが追いつかない時代
法や制度ではカバーできないグレーゾーンが増えています。 だからこそ、リーダーや企業人には「正しさ」を自ら判断する力が求められ、その基盤となるのが真・善・美を軸にした美意識なのです。
判断軸として「真・善・美」を内面化せよ
真・善・美を“自分の中に”持つ
では、本記事の冒頭でも述べた「真・善・美」とはいったい何なのでしょう。
真(真実)とは
論理だけでなく、直感を信じる感性で判断する力。
善(倫理)とは
法律ではなく、自分の道徳観・良心で善悪を見極める力。
美(価値観)とは
市場調査ではなく、自分が“美しい”と信じられるものに従うこと。
現代のビジネスリーダーに求められているのは、 この「真・善・美を内部にインストールした人」だと山口氏は語ります。

美意識はアートや哲学によって高められる
アートと哲学こそが“美意識”を鍛える道具
美意識を鍛えるとは、外部のルールに従うのではなく、主観的な判断軸を持つこと。では、美意識を高めるには何をすればいいのか?
美意識はどうやって鍛えればいいのか?
結論はシンプルです。
「アートに触れること、そして哲学に親しむこと」。
この2つが、美意識を育てるための土台になります。
アートに触れることで感性を磨く
美術館に足を運ぶ。音楽を聴く。詩や小説を読む──
こうした「美しいもの」にふれる時間を日常に取り入れるだけで、少しずつ感性は研ぎ澄まされていきます。
たとえば、忙しい日常の合間に、絵画を眺めたり、クラシック音楽を流したり、好きな映画や演劇に心を委ねてみる。
これは趣味ではなく、「未来の自分の判断力を育てるためのトレーニング」なのです。
哲学に触れることで「思考の芯」ができる
もうひとつ、美意識を支える軸として大切なのが「哲学」です。
哲学は、「人間とは何か?」「善い生き方とは何か?」といった本質的な問いと向き合う学問。
物事の表面だけを見るのではなく、その奥にある“意味”を捉えられるようになることで、自分の中に「真・善・美」という判断の基準が育っていきます。
美しいと感じた瞬間を、言葉にしてみる
美意識は感覚の問題だけでなく、「自分にとっての美しさ」を認識する力でもあります。
たとえば──
- 桜を見て美しいと感じたら、「なぜ美しいと感じたのか?」を言葉にしてみる
- 一生懸命に働く人を「かっこいい」と思ったら、その姿をロールモデルとして真似てみる
- いいデザインに出会ったら、じっくり観察してみる
そうやって、「美しい」と思えるものとの距離を縮めていくことで、自然と自分の中にある美意識が磨かれていきます。
美意識は日常の選択で育つ
美意識は、一流のアーティストや哲学者だけのものではありません。
私たち一人ひとりが、日々の「選択」を通じて育てていくものです。
だからこそ、美しいものに触れること、美しい生き方に感動すること。
そのすべてが、あなたの「人生をデザインする力」へとつながっていくのです。
まとめ | ──『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』から学ぶこと
今こそ「美意識」がキャリアを変える時代
私たちは今、感性と在り方の時代に生きています。
かつてのように論理やデータだけで物事を判断できる時代は終わりに近づいています。
代わりに求められているのは、「何が本質か?」を見抜く力(洞察力)。
その“感性”を鍛えることこそが、これからのキャリアの土台になります。
捨てる力こそが、判断力の源になる
この本の中で、印象的な言葉がありました。
優れた意思決定とは、選ぶことではなく“捨てる”ことだ。
つまり、たくさんの「よさそうな案」を前にしたときに、どれを選ぶかではなく、何を捨てるかを見極める力が問われるのです。
これは、“役に立つか”ではなく、“意味があるか”を見抜く力でもあります。
モノや情報があふれる今、意味を選ぶ「感性」がますます重要になってきています。
リーダーに求められるのは「美意識」という羅針盤
現在、社会の変化に対して、法律や制度は追いついていません。
法的に問題はなくとも、倫理的に問われる行動はあとを絶ちません。
「ルールに従っているからOK」では、もはや信頼を得られないのです。
では、どう判断するのか?
その答えが、「美意識」にあります。
これは善か?
誠実な選択か?
自分の中の“正しさ”に沿っているか?
そんな問いを、自分自身に投げかけ続ける力。
それこそが、リーダーに必要な“器”をつくる感性なのです。

これからのキャリアに必要なのは「見えない力」
論理やスキルだけでは、生き残れない時代が来ています。
むしろ、「この人の判断なら信頼できる」と思ってもらえる“在り方”が問われています。
その在り方を支えるのが、美意識──つまり、「何を美しいと感じ、何を醜いと感じるか」という感性です。
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は、そうした感性の重要性を教えてくれる一冊です。
未来のキャリアを考えるとき、「感性を鍛える」という視点を、今こそ取り入れてみてはいかがでしょうか。
さいごに
成果が出ない、判断に自信が持てない──
そんなあなたに必要なのは、「美意識」という新しい視点です。
正解が通用しない今、自分の感性と直感こそが、最良のコンパスになります。
「これは自分にとって美しい選択か?」
その問いが、迷いを断ち、あなただけの道を照らしてくれるはず。
ロジックでは届かない領域に、直感が答えを示す時代。
だからこそ、視点を変えるだけで、ビジネスも人生も動き出します。
今こそ、“美意識”という武器を手に入れてください。
